小豆島が舞台の一つとして描かれる映画「八日目の蝉(せみ)」(松竹配給)の全国公開が始まった。4歳まで誘拐犯の女に育てられ、両親の元に戻った後も、なじめないまま成長する大学生が主人公。幼い頃の思い出の島を巡ることで、妻子ある男性の子を産む決意を固めていく彼女の「自分探し」が見どころだが、映像には島の風物や人情も随所に盛り込まれる。成島出監督に作品や島への思いを聞いた。(生活文化部・山下和彦)
直木賞作家・角田光代のベストセラー小説が原作。映画では、実の両親の元で心を閉ざしたまま成長する大学生・恵理菜(井上真央)の葛藤を、不倫相手の生後間もない娘を衝動的に誘拐してしまう希和子(永作博美)の逃避行と、そのささやかな幸せを織り交ぜながら描いていく。
日航機墜落事故を題材にした映画「クライマーズ・ハイ」の脚本や、敏腕の外科医を描いた映画「孤高のメス」でメガホンを執るなど、社会派で知られる成島監督。今回の作品では、徹底的にリアリティーにこだわりながら、出産や子育てを通し、思い悩む女性たちの内面に迫った。
成島監督にとって、原作を読んですぐに「映画化したい」とほれ込んだ作品だ。希和子と薫(希和子が名付けた恵理菜の幼い頃の名)が過ごした場所を確かめたくなり、3年前にこっそりと小豆島を訪ね、「島は不思議な場所。懐かしいというか、都会が失った何かがある」と映画化への思いをより一層強くした。
第一に挙げるのが島の温かい関係性。「ここでは神様も含め、全てが平等。山の神が水をもたらし、人々は棚田で稲を育てる。豊かな実りを得ると来年の豊作を願い、再び神様に感謝の祈りをささげる。歌舞伎も虫送りも地域の団結力の証し。無理なく、自然の流れの中でつながっている。こんな場所に、何を信じて生きていけばいいか、悩んでいる恵理菜を歩かせたくなった」。
小豆島ロケは昨年秋。中山農村歌舞伎舞台、寒霞渓、二十四の瞳映画村などで精力的に行われたほか、青田の季節の7月には、島民延べ200人が協力して、いまは行われていない虫送りのシーンが再現された。
「永作さんも井上さんも後半はほとんどノーメーク。でも、だんだんきれいに見えていく。内面の美しさを引き出すために小豆島の力を借りたかった」と成島監督。「安直な答えはないけれど、きらめく海や青い空、美しい風景から、希望の光を感じてもらえれば」。
作中、希和子が幼い薫に言った「海も山も、春の花も冬の雪も、きれいなものを全部見せてあげる」のせりふが、小豆島と重なって見える。
「八日目の蝉」はワーナー・マイカル・シネマズ高松、綾川で公開中。
しばらく邦画洋画含めて映画なんて観に行ってないなぁ。
そろそろ何か観に行きたいけど、これといって映画館に観に行こうと思わせるものが無い気もするし。